sonmei’s diary

主に読書記録です。拙いです。

上遠野浩平「ブギーポップは笑わない」を読んで

 

ブギーポップは笑わない (電撃文庫)

ブギーポップは笑わない (電撃文庫)

 

  名高いライトノベルであるこの小説を読んだ。調べて知ったがどうやら「ブギーポップ以前、ブギーポップ以後」という言葉もあるらしい。「今夜もブギーバック」みたいな名前をしていてなかなか洒落たタイトルだとも思っていた。そしてライトノベルが自分が生まれる前から存在しているものだということも初めて知った。てっきり電撃文庫は直観として2005年くらいに創刊されたものだと。

 超能力系のライトノベルだから初めから戦闘描写が多いものだと思っていたが実際には第五話のハートブレイカーまでほとんどない。群像劇で、中核の登場人物以外は基本的には物事の真相までたどり着かない。

 もちろん軽い文体でスラスラ読み進められるし、普通に面白かった。ただライトノベルでは伝説とされているけれどそれはあくまで時代的なもので、ライトノベルの方向性が大きく変化したという意味で伝説なのだろうなと思った。

 話の筋としては非常にわかりやすい。人類を試すために地球に送り込まれたエコーズが人間につかまり研究対象となるがコピーして作ったマンティコアは凶暴な性格の持ち主で研究所の人間を皆殺しにして脱走する。星の環境バランスの維持のためにエコーズはマンティコアを処理しようとするが途方に暮れるところを紙木城直子に保護される。一方マンティコアは深陽高校内で女生徒に変身するために殺人を犯したところを早乙女正美に見られ殺そうとするが、協力関係を結び他の生徒を獲物にしていく。偶然彼らは紙木城と遭遇し殺してしまうが、エコーズが学校まで迫っていることを悟る。早乙女は彼女の失踪を利用して田中志郎と新刻敬を隠れ蓑にしエコーズとその仲間の霧間凪をおびき寄せる。彼らは重傷を負うがエコーズは自爆によって早乙女を焼失させ、マンティコアを弱体化させる。マンティコアは新刻を殺そうとするが突如現れたブギーポップに邪魔され、田中志郎に弓で頭を撃ち抜かれ死亡し、無事危機は去る。という内容。

 けれども疑問は多く残る。

霧間凪はなぜ正義の味方になったのか

・木村昭雄に手紙を送った人物(おそらく田中志郎ではなくブギーポップじゃないか)

ブギーポップが生まれる経緯(早乙女正美はが確か木下異常な幼児体験といっていたからおそらく五年前の夫婦間のいざこざとは別)

・末真和子が狙われた事件の真相

・エコーズ、マンティコアの研究機関のこと

・そして送り込んだもの彼らの正体

・紙木城なぜはエコーズの意思が読み取れたのか

など

 ここまで疑問が残ると以降のシリーズ作品を姉妹作とはいえなくないか?

 読んでて気に入ったのは第一話と第四話があまり本筋と関係ないところだ。この小説の中で最も遠い立場の竹田啓司と木村明雄が主人公で、正直なくても話が分からないというほどのものではないのだけれどこの章があるおかげで物語に没入しやすくなる。群像劇として非常に上手いなと思った。

 残念だったのは紙木城が死んだのがあっけなさすぎること。

 早乙女正美は当初霧間凪に殺されたいと思っていたがこの間「相棒15」で北一幸の獄中結婚の相手が彼に自分を殺すようにお願いしたのと似ているなと思った。もっとも彼はその後反対に自分が殺人を犯すことになるが。タナトスとエロスはリビドーと表裏一体といっても私にはさっぱりわからん。

 青春小説の登場人物って大概が美形で女にもてる人間が出てくるが、そういう描写はあまり書き加えるのに必要ない気がする。それともやはりそういう人間でないと刺激的な話を作ることはできないのかしら。でも読者層としては非リアの方が多いんじゃないか?やっぱり憧れがあるの?そしてかなり自由な男子校の高校の出身である私はどうしても共学を舞台にした小説が出てくるときにリアリティを感じられないのである。公立の中学校みたいなものかなとは思うけれど。

 

 読みながらしおりくらいつけておけばよかった。記憶が曖昧になるし軽く見返しても探したい箇所がみつからないし。